JAL516 羽田空港の事故 瞬間の映像と管制交信記録全文 滑走路占有監視支援機能は?

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はじめに

 今年は年明けから地震とそれに引続き航空機事故。
 被害に遭われた方のご冥福を心よりお祈りいたします。

 私は、航空マニアでも専門家でもありません。
 しかしながら、設備の整った羽田空港で、このような事故が起こったのか、不思議で仕方ありません。
 原因については、いずれ事故調査委員会が解明して公開してくれるのを待つしかないとおもいますが、疑問がつきないので、詳しい方コメントいただけるとうれしいです。

管制交信記録

 さて、まず国土交通省が公表した管制交信記録の全文です。

    ※東京タワー=管制官
    ※JAL516=日本航空機
    ※JA722A=海上保安庁機

    JA722AとJAL516に関する交信記録 <仮訳>
    発生年月日 令和6年 1月 2 日
    時間(日本時間)
    交信者:交信内容

    17:43:02
    JAL516 (日本航空機): 東京タワー、JAL516 スポット 18番です。
    東京タワー(管制官):JAL516、 東京タワー こんばんは。 滑走路34Rに進入を継続してください。風320度7ノット。出発機があります。

    17:43:12
    JAL516 (日本航空機):JAL516滑走路34Rに進入を継続します。

    17:43:26
    DAL276 :東京タワー、DAL276誘導路上Cにいます。停止位置に向かっています。
    東京タワー(管制官):DAL276、東京タワー こんばんは。滑走路停止位置C1へ走行してください。
    DAL276:滑走路停止位置C1 DAL276

    17:44:56
    東京タワー(管制官): JAL516 滑走路34R着陸支障なし。風310度8ノット。

    17:45:01
    JAL516 (日本航空機): 滑走路34R着陸支障なし JAL516

    17:45:11
    JA722A(海上保安庁機):タワー、JA722A C誘導路上です。(TOWER JA722A C.)
    東京タワー(管制官):JA722A、東京タワー こんばんは。1番目。C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください。(JA722A Tokyo TOWER good evening, No.1, taxi to holding point C5.)

    17:45:19
    JA722A(海上保安庁機):滑走路停止位置C5に向かいます。1番目。ありがとう。(Taxi to holding point C5 JA722A No.1, Thank you.​)

    17:45:40
    JAL179 :東京タワー、JAL179滑走路停止位置C1へ走行しています。
    東京タワー(管制官):JAL179、東京タワー 3番目。滑走路停止位置C1 へ走行してください。
    JAL179 :滑走路停止位置C1へ走行、離陸準備完了。

    17:45:56
    JAL166:東京タワー、JAL166 スポット21番です。
    東京タワー(管制官):JAL166、東京タワー こんばんは。2番目、滑走路34R進入を継続してください。風320度8ノット。出発機あり。160ノットに減速してください。

    17:46:06
    JAL166 :減速160ノット、滑走路34R進入を継続。こんばんは。

    17:47:23
    東京タワー(管制官):JAL166、最低進入速度に減速してください。
    JAL166:JAL166

    17:47:27
    3秒無言

    (1) JAL516(当該機:到着機1番目)
    (2) JA722A(海上保安庁機:出発機1番目)
    (3) JAL166(到着機2番目)
    (4) DAL276(出発機2番目)
    (5) JAL179(出発機3番目)

事故直前から衝突瞬間までの映像

 次に、映像を確認します。


 NHK映像を引用していましたが、Youtubeの映像で代用できるものが見つかったため、差し替えました。

 (NHKニュース7令和6年1月3日に放送分、NHKプラスからのキャプチャ引用)

 衝突直後の映像は、ネット上でよく見つかったのですが、その前まで公開してくれたので、ますます謎は深まりました。(赤字加筆、修正:2026/01/06)

考察

誤進入について

 記事作成時点(2024/1/3)での海保機の機長は、離陸許可が出ていたと述べているようです。
 記録が正しいとすれば、機長は誤認して侵入してしまったことになるんだと思います。

 それにしても、交信内容って、素人目に、わかりにくい。
 17:45:11 に管制からJA722AがNo.1って言われたら、自分が最初に離陸するもんだと思うのではないかな?
 しかも混み合った羽田空港、早くしないといけないって思うのでは?

    (1) JAL516(当該機:到着機1番目)
    (2) JA722A(海上保安庁機:出発機1番目)
    (3) JAL166(到着機2番目)
    (4) DAL276(出発機2番目)
    (5) JAL179(出発機3番目)

 とある通り、到着機と出発機別々にナンバリングするんですね。
 航空管制の用語では、これが世界共通なのかも知れないけど、これ良くないと思います。

 とある記事を見ると、海保機が交信を聞き始めたのは17:45:11からではなかろうかと書かれていました。
 交信記録を読み返して、順番に見ると、
 17:45:11 JA722A(海上保安庁機:出発機1番目)
 17:45:40 JAL179(出発機3番目)
 17:45:56 JAL166(到着機2番目)
 17:47:27 が衝突時刻だとすると、17:45:56の交信が聞こえたのはちょうど滑走路手前くらいじゃなかろうか。
 このタイミングで「出発機あり」と言われれば、自機のこと。実際に海保機を示していて。
 自機はNo.1、JAL166はNo.2だけどそれは到着機で、その前の到着機No.1は、すっ飛んでしまって誤認したのかな。
 到着機の列の間を縫って離陸させるからこういう順番の標記をするんだろうが、やっぱり紛らわしい。

(赤字加筆:2026/01/06)

どうして回避できなかった?

 冒頭に記載したとおり、羽田空港ほどの設備の整った空港でこのような事故が起こったのか、本当に良く分からない。
 私は、こちらの方が誤進入よりも問題だと思います。

 映像は編集されており、衝突回避までの猶予がどの程度あったのか定かではありませんが、海保機が滑走路に進入して停止してからしばらく時間があったように見えます。
 誤進入した瞬間に衝突したのではないようなのです。

 滑走路上の海保機に気づき、日航機JAL516にゴーアラウンドを命じれば、この事故は防ぐことができたのではないか。

 衝突回避までの猶予がどの程度あったのか定かではありませんが、海保機が滑走路に進入して停止してから衝突まで40秒間あったようです。
 映像を見ると、長いようで短いのかも知れませんね。
 着地してからのゴーアラウンドは、回避できていたか私には全く分からず、復行のための加速等と相まって、大惨事となっていたかも知れません。
(赤字加筆、修正:2026/01/06)

空港面探知レーダー

 羽田空港には、空港面探知レーダーが設置されています。
 暗くても、無視界でも、管制塔は、空だけでなく地上の航空機も監視しているはずです。
 なぜ、滑走路上の海保機に気づかなかったのか。

滑走路占有監視支援機能

 運用状況に関する資料が見つかりませんでしたが、平成21年より段階的に充実強化と資料に記載されていたので、おそらく導入されていると思われる「滑走路占有監視支援機能」。
 これは、機能しなかったのでしょうか。
 

 私には、誤進入が発生してから、注意喚起表示がされ、日航機にゴーアラウンドを指示できるチャンスはあったように思いますが、みなさんはどのように感じますでしょうか。

追記:2024/01/04

滑走路上に別の航空機がいる場合の対応

 時事通信の記事では、滑走路上に別の航空機がいる場合の対処について、以下のように記載されていました。

国交省によると、滑走路上に別の航空機がいて、着陸の妨げになる場合は、管制官が再着陸を行うよう指示を出すという。

 にもかかわらず、続けてこのように記載されていました。

国交省は管制官の指示について「現状では適切だったと考えている」としている。
「着陸やり直し」交信なし 滑走路上の海保機に気付かずか―日航機と管制官・羽田衝突(時事通信)

 この記事から発言者が誰かは分からないし前後関係の文脈も不明ですが、現状でこのようなコメントは適切ではないと思います。普通に考えると、管制官は警察の捜査対象に含まれると思います。
 管制機器に異常がなく、滑走路占有監視支援機能が有効に機能し、注意喚起表示がされていたとしても、同じようなコメントをするのでしょうか。

 衝突回避に成功した事例等について、書かれた記事はこちら。
 「滑走路誤進入」過去事例を分析 大半はヒューマンエラーで発生…衝突防いだ最後のとりでは「ゴーアラウンド」

管制官は滑走路上の海保機に気づかなかった

 読売新聞オンラインの記事では、管制官は、滑走路上で40秒間止っていたとされる海保機に気づかなかったと述べているようです。

 羽田空港には4本の滑走路があり、運用中の滑走路1本ごとに管制官2人が担当。うち1人は駐機場から誘導路への移動を担う。補佐役の管制官などもおり、管制塔全体で通常15人程度の体制を取っている。

 国交省関係者によると、当時管制塔内にいた管制官への聞き取りでは、担当管制官らは海保機が指示と異なる動きをしていることに気付かなかったという。
羽田管制官「滑走路進入に気付かなかった」…衝突2分前に海保機が「停止位置に走行」復唱(読売新聞オンライン)

追記:2024/01/05

監視支援システムの運用開始時期

 羽田では4本の滑走路全てで平成23年3月までに、滑走路占有監視支援機能の運用を始めていたようです。

 注意喚起をする機能が管制塔に備えられていたことが5日、国土交通省への取材で分かった。海保機の進入を検知していれば、管制官が使う表示装置の画面上で滑走路全体が黄色に点滅し、航空機が赤色で表示されていた可能性がある。
羽田、管制画面に注意喚起機能 進入機検知し表示点滅(東京新聞)

 記事の標題に「?」を付けた方が良いと思いました。
 記事本文に「可能性がある」と記載されているとおり、現時点で、進入機を正しく検知し表示点滅していたかどうかは不明だと思います。

 国交省は「事故当時、実際に海保機の位置が特定され、注意喚起表示が出ていたかどうかは事故調査で明らかにされることになる」と説明している。前掲(東京新聞)

追記:2024/01/06

監視支援システムは正常作動

 時事通信の記事では、滑走路占有監視支援機能が事故当時も正常に作動していたことが明らかになったようです。

 国土交通省は5日、滑走路への誤進入をモニター上で管制官に注意喚起するシステムが、事故当時も正常に作動していたと明らかにした。
監視システムが誤進入検知か=管制官、見落としの可能性―羽田衝突事故・国交省(時事通信)

 ただし、これは「システムが正常に稼働していた」ということに留まり、実際の挙動がどのようであったかは、やはり不明だと思います。

 この間、システム障害は確認されなかったといい、管制官がモニターに表示された注意喚起を見落とした可能性がある。前掲(時事通信)

 それにしても、この機能って「警告音は鳴らない」んですね。鳴った方が良いと思います。

監視支援システムの運用方法

 コメントに頂いたとおり、目視が基本であり、システム等は補助的に使うものなのですね。

 それは、しょっちゅうあります。見えづらいと思うからこそ、意識して注視することは日常です。夜間、本来滑走路上にいる飛行機を一時的に見失って、「あれっ」と思って双眼鏡を使うことや、レーダーなど補助的な機器を使うことは日常的にあると思います。
元管制官に聞く…滑走路上の海保機なぜ気付けず?夜は「見えづらい」(テレ朝news)

 私の場合は「見失った」と自覚があったので「おかしいな」と思いますから、双眼鏡を使うとか、機体が最後にいた位置にレーダー上で確認できるかと、補助的に使ったことはあります。
前掲(テレ朝news)

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コメント

  1. rerere より:

    東京GND、東京APPの交信も有った方が何かわかるかも知れないですね。

    • abten より:

      コメントありがとうございます。私の知識不足で、良く分からないです。

  2. より:

    全くの素人だか、
    1番目の出発機に「着陸機がいるので待て」と伝えないのは、何故なのかと思う。
    また、出発機が同じ滑走路を使用予定の着陸機の有無を知る方法は無いのだろうか?

    「誰が悪い」より『改善可能な箇所は何処か?』と考えてしまう。

  3. Type65 より:

    メディアで「滑走路占有監視支援機能」という言葉が一人歩きしてる気がしたので書き込ませてもらいます。

    平成29年2月24日の成田での重大インシデント報告書を読んで感じたことは、基本的に管制は人が行ない、管制官が「おかしい」と感じた場合に空港面表示システムで「補助的」に確認する、という運用がされているのだろうということです。ここで言う空港面表示システムに「滑走路占有監視支援機能」があって、この時にも目視で「おかしい」と感じ、滑走路面が黄色表示だったので結果的にゴーアラウンドされました。

    では羽田はどうかというと、既存の設備を使って出来るはずのMLATを使った空港面表示システム自体はかなり前から試験運用されていて当初は誤差が大きく使い物にならなかったらしく、アンテナ増設などで一定の精度が出せるようになったので本格運用されるようになったのではないでしょうか。
    ただ、管制官もプロなのでやっぱり管制の基本は人、空港面表示システムはあくまでも補助的な物であることは変わりなく、「~支援機能」と言う名の物に強制力はないので管制官が「おかしい」と感じなければ見ない状況があり得るわけです。ましてや一度使い物にならないと判定した物にどれだけ信頼を取り戻せるのか。
    今回はどうなのか分かりませんが羽田は訓練生がOJTしていることも多いので、管制や当該機含めて複数の「だろう」が重なって起きた事故なのかなと思います。

    部外者なので単なる憶測ですみません。

    • abten より:

      長文のコメントをいただき、ありがとうございます。同感するところが多々あります。
      MLATの試験運用については、こちらの資料が詳しいかも知れません。
      https://www.soumu.go.jp/main_content/000010029.pdf
      11頁記載の通り、評価時には精度の問題があったようですが、実装時には受信局が追加されたものと推察します。

      お気づきの方も多いかも知れませんが、17:43:26に管制官はDAL276に滑走路停止位置C1に行くことを指示しており、この後17:45:11に、JA722A(海保機)C5上の滑走路停止位置に行くことを指示しています。
      管制官は、DAL276とJA722A(海保機)の双方が別々の停止位置に正しく停止するかどうか、監視しなければいけなかったと言うことになりそうです。